
たった一つ、ワンシーン思い出すだけで力がわいてくることってないですか。おれはあります。そんな、「強烈に記憶に残るワンシーン」を生み出すためにライブをやってる気さえする。音楽の表現の仕方は様々ありますが、「強烈な閃光のような一瞬」を生み出すのは、ライブでしかできないことだと思う。
一時間半以上ワンマンだとライブするけど、のっぺりした一時間半っていうイメージじゃないんです。瞬間の積み重ねをしていく感覚があります。
自分たちミュージシャンは日夜研究と練習を繰り返していますが、強烈に記憶に残るワンシーンは努力だけでは生み出せないなぁ、とも思います。偶然起きる、光と影やトラブルやメンバーの思いがけない行動とその重なり、そしてライブを見てるあなたの心の動きによって「奇跡の一枚」、何度見ても感動する写真みたいに心に焼き付くのでしょう。
音楽は記憶装置だと思っていて。心に焼き付いた光景を引っ張り出すスイッチになるんですね。音楽を聴くと聴いていた当時のことを思い出す。蘇るのが力強い光景だったら、それによってもう一度歩き出そう、と自分を奮い立たせるきっかけをくれる。音楽は、ライブはそういうやりがいのあるもので、だから奥が深くて追求に終わりがないです。
“一瞬の輝きを輝きを 輝きをくれた君に捧げる歌”
THE BACK HORN「閃光」
意外に思うかも知れませんがステージに立ってる側もまた、客席のあなたの笑顔や泣き顔や、 突き上げられた拳を心に焼き付けています。そしてパワーをもらっています。自分が人見知りで恐がりだから余計に思うのかもしれませんが、ステージに立つことなんて怖いことばかりです。ミスも怖いし、たくさんの人に見られてると思うと背中に汗かくし、力むし、何より自分を出し切れなかったときの絶望たるや。。。
それでもステージにまた立ちたいと思うのは、心に焼き付いたあなたの、あなたたちの楽しそうな姿がミュージシャンに力をくれるからです。
だから何度やってもライブは面白いし、やる意味がある。再びあなたとライブハウスで会えるときまで、ミュージシャンは立ち止まらない。
また、会いましょう。