
あらすじ…自宅で音楽を作るための環境を整えた咲久。操作を覚えるのは断念し、もっぱらイメトレに励むのであった。
第1~2話はこちら!
「先生、今回も名曲をよろしくお願いします!」某レコード会社の某役職(偉め)のひとがわたくし「犬山 咲久」の背中に向かってそう言った。
「もうすでに頭の中で鳴ってるわ、歴史的な名曲が、ね」
決めぜりふを言いながらゆっくりと振り返るわたくし「犬山 咲久」。ゆっくり、、、いや、ゆっくりじゃない方がいいか。決めぜりふ結構短いから、振り向いてる途中で言い終わっちゃう。途中で言い終わって正面向いた時に無言って不気味でしょ、だいぶ。
やっぱり素早く振り向いて、某役職(偉め)の目をじっと見つめて「もうすでに頭の中で鳴ってるわ、歴史的な名曲が、ね」っていうほうがいいかも。うん、これだ。
いやー、このせりふは我ながら痺れる。多分某レコード会社の新人の娘の大事なデビュー曲で、わたくし「犬山先生」に白羽の矢がぶっ刺さっちゃったと。そんで顔合わせでその新人の娘の話を黙って聞いてて、「OK.もういいわ」って言って席を立つ。追いかけてきた(偉め)に向かって「もうすでに頭の中で鳴ってるわ、歴史的な名曲が、ね」。
これよ。かっけえ〜!なにがいいって「もうすでに頭の中で鳴ってるわ」っていうのがやばい。顔合わせしかしてないのに頭の中で音楽が鳴ることある?実際のあたしだったら、出されたお茶が猫舌で飲めないけど子供っぽいと思われたら嫌だから飲んでる振りするのに必死だろうし、お茶うけのハッピーターンの粉だけベロベロ舐めたいのを我慢しすぎて最終的に過呼吸になってるんだろうな。
まあ、未来のあたしは何らか進化してるから頭の中でガンガン音楽鳴っちゃうんだろうな〜。かっけえ〜!
さあて、今日はイメトレもしたし、お母さんご飯まだ〜?